テレビ東京では現在、同局のプロデューサー・ディレクター陣による毎日内容が入れ替わる様々なイベント「テレ東無観客フェス2020」を有料配信している。人気番組の制作裏側を明かしたり、リモート音楽祭を開催したり、キー局で冠番組を持ったことのないタレントの冠番組を視聴者と考えてみたり…。
7月4日(土)は夜8時より演劇「女のみち特別編~アンダーコロナの女たち~」を上演する。演劇ユニット「ブス会*」を主宰するペヤンヌマキの代表作「女のみち」シリーズの特別編となり、緊急事態宣言が明けた後、久しぶりに行われるAV撮影の控室を舞台に、女たちによる怒涛の会話劇が展開。同時に、コロナ厳戒態勢下というこれまでに経験したことのない状況でのAV撮影をめぐる物語が繰り広げられていく。
このイベントの発案者・テレビ東京の祖父江里奈プロデューサーに企画の意図などを語ってもらう。

女性の生き様やままならない人生を描きたい

――今回のコンテンツ企画を最初に聞いたときの印象をお聞かせください。
「テレ東無観客フェス自体が当初は明確なコンセプトもないまま、ふわぁ~っといつの間にか決まっていたイベントなんです(笑)。そんな中、『お前は演劇が好きだから、演劇をやればいいじゃん』と上司の伊藤隆行Pに言われました。演劇は好きですし、学生時代は演劇サークル等で脚本を書いたり、役者として舞台に立っていたりもしました。でも社会人になってからは観る側専門なので演劇づくりなんて全くノウハウが分からない…、私はテレビマンだし…、どうしよう…という戸惑いばかりでした。しかもこのイベントが正式決定してから本番まで約1か月半しかなくて。ホント行き当たりばったりな会社ですよ!(笑)」
――どういった経緯でペヤンヌマキさんとのタッグを決めたのでしょうか?
「演劇作りのノウハウがない&時間もないという中で、この企画をお願いできる人…となると、私がプロデューサーを務めたドラマ『来世ではちゃんとします』で脚本を書いていただいたペヤンヌマキさんしかいない!とすぐに思いました。正直、ペヤンヌさんの優しさに全力で甘えようという算段もありましたね(笑)」


作・演出:ペヤンヌマキ

 
――祖父江さんにとって、ペヤンヌさんは信頼を寄せる方なのですね。
「ペヤンヌさんも私も、いろいろな女性の生き様やままならない人生を描くことに興味があり、熱意が持てる。好きなものや考え方に共通する部分が多くて、つまりは一緒にものを作る上で『話が早い』と思ったんです」

またあの作品が観られる!という喜びのある舞台に

――舞台のテーマは、どういった経緯で決定したのでしょうか?
「もともと私が『女のみち』シリーズのファンだったんです。時間もない中で演劇を作るにはゼロから何かを立ち上げるより、元々ある企画の続編や番外編にした方がいいだろうなと思い、とても恐れ多いことだと思いつつもペヤンヌさんに『女のみち』をやっていただけないかとお願いしたところ、ありがたいことにご快諾していただきました。企画が成立した喜びもさることながら『またあのシリーズが観られる!』ということが嬉しかったですね」
――「女のみち」シリーズは一貫してAV業界をテーマにしてきました。なかなかに過激ですね。
「内容も今この時代の状況を反映させたいと思いました。テレビも演劇もAVも、コロナで苦境に立たされたのは同じ。それぞれの業界がどのようにこの状況に対応し生き抜いていこうとしているのかとても興味がありました」
――キャスティングにはどのようなこだわりがありますでしょうか?
「これまで『女のみち』シリーズに出演してきた、おなじみのあのメンバー以外でやることなんて考えられませんでした。出演依頼をした時、みなさんが本当に嬉しそうにしてくださったのが印象的で。特にもたいさん、高野さんには直接ご本人に電話で出演のお願いをしたんですが『まさかこんな形でまた集まれるなんて!』と喜んでくださいました。稽古もコロナ感染対策下で行われるため、本読みはリモート本読みだったんですが、さすがみなさん、1回目から呼吸がピッタリ!久しぶりに一緒にお芝居をしているはずなのにずっと共に活動しているかのような和気あいあいとした空気でした」


左から内田慈、もたい陽子、高野ゆらこ、尾倉ケント

 
――どのような方にこのコンテンツを視聴してほしいでしょうか。
「『女のみち』シリーズのファンの方も、そうでない方も是非観ていただきたいですね。もちろん元々の作品を知らなくても楽しめる内容になっています。ペヤンヌさんの脚本が本当に面白くて笑っちゃうこと間違いなしです!『アンダーコロナの女たち』というサブタイトルを付けたのは“ウィズコロナ”という表現にどうしても抵抗があったから。どうしたって私たちはコロナに虐げられ、ひどい目にあわされている。でもそんな“コロナ下”の状況を負けん気たっぷりに楽しくたくましく生きる女性たちの姿が、観る人の気持ちを少しでも明るくできればと思っています」


『女のみち2012』の様子

 
――今後も、このイベントを継続するとのこと。何かチャレンジしたい企画があったらお教えください。
「エロい企画をやり続けたいですね!私は普段ドラマを作っているんですが、いくらテレビ東京とはいえ地上波放送ではやれるエロに限界がある(笑)。でもリアルイベントや配信という形でならある程度はそういった内容のものをお届けできるんじゃないかと。地上波よりはマニアックだけどAVとはまた違う、お客さんの間口の広いカジュアルなエロコンテンツを作りたいと思っています」

自分が作るドラマを望む人がいると強く信じて

――なかなかに過激なご意見、ありがとうございます(笑)。祖父江さんが手掛けた「来世ではちゃんとします」も若い女性の性を赤裸々に描き、話題となりました。祖父江さんがドラマを作る上で、大切にしているのはどんなことでしょうか?
「『私が見たいものを作る』ということですね。ドラマに限ったことではないですがテレビ番組って、多くの人に届けなければいけない、視聴率を取らなければならないという命題があります。でもそれを気にし過ぎると『これは多くの人に受け入れられるだろうか』、『これを見た人はどう思うだろうか』という考え方にずっと囚われてしまう。結果、誰にも刺さらない中途半端なものになってしまう恐れがあるんです。だったらもう勇気を出して自分が作りたいものを全力で振り切って作った方が、いい意味でヘンテコなものが出来上がって多くの人の興味を引くんじゃないかと思うんです。不安になることもありますが、『この作品を見たい人は必ずこの世界にいる。何故なら私が見たいのだから!』と自分に言い聞かせながら心を強く持って制作しています」
――ドラマ作りの現場は、これから様々な苦労があると思いますが。
「世界はすっかり変わってしまいましたし、たぶん元の世界には完全には戻らない。だからといってドラマ作りの姿勢は何も変わらないと思います。こんな状況だって人はご飯を食べるし、恋愛をするし、誰かを憎むし、途方もない夢を見る。人間の営みがあり続ける限りドラマは生まれるし求められるのでそれを粛々と作っていくのみだと思います。まぁでも現場のマスクとフェイスガードは早くなくなって欲しいですね、暑いので(笑)」

演劇「女のみち特別編~アンダーコロナの女たち~」
内容
ペヤンヌマキ(ブス会*)の代表作である「女のみち」シリーズの特別編。舞台は緊急事態宣言が明けた後、久しぶりに行われるAV撮影の控室。外出自粛でうっぷんが溜まりまくった女たちは怒涛のようにしゃべりまくる!そしてコロナ厳戒態勢下で行われるAV撮影…一体どうなる!?
作・演出
ペヤンヌマキ(ブス会*)
出演
内田慈、もたい陽子、高野ゆらこ、尾倉ケント
担当
祖父江里奈(『来世ではちゃんとします』プロデュ―サー)
時間
20時開演
料金
1800円(税込)
※作品は約30分程度を予定。その後、出演者やペヤンヌマキによる座談会を行います。
チケット販売はこちら
追加情報
終演後の座談会ゲストとしてAV女優・羽田希さんの参加が緊急決定! 現在まさにコロナ感染対策下での撮影に参加している羽田さんに「現場の生の声」を聞かせていただきます!
※この記事はauテレビでも掲載されました。
http://sp.tvez.jp/(スマートフォン向けサイトです)

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