カンヌ映画祭の秀逸なポスターにより買い付けと配給が決定

 
11月9日(土)公開の映画『ラフィキ:ふたりの夢』の一般試写会が行われ、トークイベントに女装パフォーマーでライターのブルボンヌさんと、本作の買い付けと配給を行ったサンリスの川村真砂美氏が登壇した。
「いまだにケニアでは同性愛行為は犯罪なんですよね。今年の春くらいに人権活動を頑張っている方が『国際的にみてもおかしい』と裁判所に訴え出ても却下されて。周辺国のスーダンだと死刑なんですよ。南アフリカだけは同性婚ができるくらい進んでるんですけど、LGBTにとってはいまだ暗黒大陸なところがある」とアフリカのLGBTを取り巻く環境を語った。
本作は、川村氏がカンヌ国際映画祭のサイトで見つけたポスターがきっかけだったという。「最初、会社の買い付け候補リストにも入っていなかったんです。まさしくジャケ買い」と裏話を披露。
ブルボンヌは、「ジキちゃんが登場するときに極彩色でね、そしてローリン・ヒルを思わせる美女。本当に素敵だなと思ったのが、ケナちゃんみたいな女性から男性へのトランスジェンダー意識もちょっとあるようなタイプが、この子のことを好きでもいいんだと強く思わせてくれたのがジキちゃん。あれだけ差別が横行している社会の中で、悪魔祓いの教会の中でこっそり『手をつなごうよ』とか言ってくれるのがとてもかっこいい。でもそんな彼女が後半、社会のひどい暴力の中でまったく真逆の言葉を出すようになってしまう、それがとても切ない」と物語の見どころを語った。

 
ブルボンヌさんは「圧倒的な暴力や憎しみをうけると心をふさがれてしまう。でもうれしかったのは、ジキちゃんがケナちゃんを目覚めさせてくれたおかげで、逆にジキちゃんが傷ついたときにケナちゃんが彼女を変えようと一生懸命言葉をかけてくれる。あの二人のバランスがとてもよかった」と語ると、川村氏は「ただただ好きな人と一緒にいたくてという初恋のピュアな気持ち。とても切ないですよね。タイトルの【ラフィキ】という意味はスワヒリ語で「友達」という意味ですけど、それ以外にも、大事な人、友達以上のグラデーションをもった感情を指しているのかなと思っています」と締めくくった。

映画情報

©Big World Cinema.

 
「ラフィキ:ふたりの夢」
11月9日(土)よりシアターイメージフォーラムほか全国順次公開
<ストーリー>
看護師になるのが目標のケナは、古いしきたりにとらわれた周囲の人たちに満たされない想いを抱えていた。両親は離婚し、ナイロビで母と暮らしていたが、国会議員に立候補した父のことは応援している。そんな時、父の対立候補の娘で自由奔放なジキと出会う。互いに強く惹かれたふたりは、「私たちは本物になろう」と誓い合う。だが、友情が恋心へと変わり始めた時、ふたりはこの恋は命がけだと知る──。本当の自分か、家族や社会が望む自分か。音楽、ダンス、ファッション、アート──ポップでカラフルなアフリカンカルチャーにのせて、人生を豊かにする人と人の絆を描く感動作。
監督
ワヌリ・カヒウ
出演
サマンサ・ムガシア / シェイラ・ムニヴァ / ジミ・ガツ / ニニ・ワシェラ ほか

©Big World Cinema.

※この記事はauテレビでも掲載されました。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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