映画「おかあさんの被爆ピアノ」の制作発表会

今月17日に、映画「おかあさんの被爆ピアノ」の制作発表会が南青山のMANDALAで行われ、ダブル主演の佐野史郎、AKB48の武藤十夢らが意気込みなどを語りました。
本作は、広島の原爆投下から奇跡的に焼け残った「被爆ピアノ」。これを託された調律師・矢川光則さんが自ら修理・調律し、4トントラックで全国に被爆ピアノの音色を聴かせ回り、原爆を後世に伝えていく、という実際の話が元になっています。
五藤監督は、「矢川さんとはテレビのドキュメンタリーで取材させていただいたのがきっかけで、ドキュメンタリーでは伝えられないことがあったので、映画化を提案させていただきました」と語りました。その矢川さんも「映画でさらに色々な方が被爆ピアノの存在を知って、改めて平和のことを考えるきっかけになるのでは」と期待を寄せました。
 加川役を演じる佐野史郎は小柄な矢川さんを見て「僕は大きいですよね?」と笑いを誘いつつ、「自分なりの調律師の世界を作れれば」と意欲的でした。
 ヒロインの菜々子役を演じるAKB48の武藤十夢は、「私は戦争を経験していないので、胸がギュッと掴まれるようなシーンがあった」とし、ピアノについては「3歳くらいから10何年かやったけど、これを機に練習して作品に臨めたら…」と話したところで、佐野史郎から「AKBでもやるんでしょ」と突っ込みが。「1回ちょっとだけ弾いて大失敗したので、映画ではリベンジで披露したい」と前向きに語りました。
 ヒロインの父役の宮川一朗太は、「実は十夢ちゃんのお父さんは30年以上の親友で、十夢ちゃんのことは生まれたときから知っている」と告白。「十夢ちゃんの実際のお父さんをモデルとして…」と言いかけたところで、武藤十夢が「えーっ、それは困ります!」と止めに入り、息の合ったやりとりを見せました。

「蓮さん、見ててください・・・。」

 最後に佐野史郎から「監督からキャスティングのことを…」と促されると、五藤監督は「調律師の役は大杉蓮さんにお願いしていました。今年5月すぎに広島に行きましょうと話していた矢先にお亡くなりになりました。7月に災害もあり映画の企画がストップしていたんですが、広島の方々が『それでもこの映画を伝えたい』と言って下さって、佐野さんに主演をお願いしました」と経緯を語りました。
 佐野史郎も「大杉さんとは腹を割って話し合える数少ない俳優仲間の一人でした。蓮さん、見ててください」と天に語りかけ、締めくくりました。
 映画「おかあさんの被爆ピアノ」は2020年公開に向けて、来年初夏にクランクインです。制作発表ではチームワークの良さを見せた出演者たち。劇場公開が待ち遠しい作品です。

●映画情報

映画「おかあさんの被爆ピアノ」
2019年初夏クランクイン
2020年公開予定
・出演:佐野史郎、武藤十夢(AKB48)、宮川一朗太、南壽あさ子、城之内正明 栩野幸知、沖正人
・監督:五藤利弘
・配給・宣伝:渋谷プロダクション
・製作:映画「被爆ピアノ」製作委員会
・制作:One Scene

●ストーリー

昭和20年に広島で被爆したピアノを持ち主から託された調律師・加川(佐野史郎)。彼自身も被爆二世。調律師は、託された被爆ピアノを修理、調律して、それを自ら運転する4トントラックに載せて全国を回っている。
東京に住む江口菜々子(武藤十夢)は、被爆ピアノコンサートの情報を偶然知り、調べると被爆ピアノの1台を母が寄贈していることを知り、被爆ピアノコンサートを観に行く。被爆二世の母から広島のことや音楽講師をしていた祖母のことなどを知らされてこなかった菜々子は祖母(南壽あさ子)のこと、広島のこと、被爆ピアノのことを知りたくなり調律師に頼んで広島まで同行する。
2年前に他界した祖母が住んでいた母の実家はそのままにされており、間もなく再開発で壊されるという。菜々子は伯父に実家まで案内してもらうと、実家にある祖母の写真、古い楽譜などから祖母のことを辿っていく。そして、菜々子が5歳の頃に祖母から可愛がってもらった記憶。
なぜそれ以降の祖母の想い出がないのか?母はどうして広島から出て行ったのか?祖母が菜々子に伝えたかったこととは?調律師がなぜ被爆ピアノを伝える活動をしているのか?
菜々子はルーツを辿り、被爆ピアノの活動を辿りながら次第に何かを見つけていく…。
©映画「被爆ピアノ」製作委員会
http://hibakupiano.com/
 

※この記事はauテレビでも掲載中です。
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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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