アフリカ・日本の孤児たちが悲しみを乗り越えてブロードウェイへ

 今日は試写会に行ってきました。いつもはパソコンと紙面に全神経を集中させているので、取材などで外出する仕事は気分転換になります。
 今回鑑賞する映画は「シンプル・ギフト〜はじまりの歌声〜」。パンフレットをチラッと見ただけで真面目な映画だと分かります。いつもは「うす口映画愛好家」として、ボンヤリと映画を楽しんでいる筆者。かすかな緊張感が走ります。
 ストーリーは、エイズで両親を亡くしたウガンダの子どもたちと、東日本大震災の津波で家族を亡くした子どもたちが、ブロードウェイの舞台を目指すというドキュメンタリー。
 この一大イベントの発案者は玉井義臣氏。「教育が貧困から救う」という信条のもと、貧困撲滅を訴える、あしなが育英会の会長です。ここに演出家のジョン・ケアード、コーラス指導のクリスティーン・ハウエルが加わって、演出を完成させていきます。
 レッスンを重ねるごとに、アフリカ、日本、アメリカの異なる文化が、ブロードウェイの舞台に向けて融合していくのです。

両親をエイズで亡くしたアニータがはじめて過去を語る

あまり書くとネタバレになってしまうので、心に残ったシーンをいくつか紹介しましょう。
 両親をエイズで亡くしたウガンダの孤児・アニータ。長らくその過去を語りたがらなかったのですが、歌とダンスの選考試験のときに、はじめてその過去や将来の夢を語るんです。そのときの表情に驚きました。別人かと思えるほどキリっとした表情になっていて、希望を見つけたような眼差しになっているんです。
 続いて、日本での最初のセッションシーン。ウガンダのドラムと日本の和太鼓の乱れ打ちには度肝を抜かれました。リズムとパワーが勢いよくぶつかり合う様は、ジョン・ボーナムやビル・ブルーフォードのドラミングを思い起こしました。
 他にもここには書ききれないほど、印象的なシーンがたくさんありました。あとは劇場で皆さんの目で確かめてみてください。きっと感動とパワーをもらえると思います。

11月3日(土) 〜 11月16日(金)ロードショー

<上映情報>
「シンプル・ギフト〜はじまりの歌声〜」
・監督/プロデューサー:篠田伸二
・ナレーション:紺野美沙子
・音楽:中村由利子/ジュスカ・グランベール
・構成:柴崎明久 梶本恵美
・パラパラ漫画:アトムストーリー
・出演:玉井義臣、ジョン・ケアード(演出家)、クリスティーン・ハウエル(コーラス担当)、佐藤三昭(東北太鼓指導者)、アニータ(ウガンダ孤児)、日下マリア(東北津波遺児)ほか
・11月3日(土)〜16日(金)ロードショー
・劇場:有楽町スバル座 ほか全国順次公開
<ストーリー>
ウガンダの親を亡くした子どもたちを教育で支援する、あしなが運動創設者・玉井義臣氏。氏が思いついたのは、ウガンダの子どもたちと、東日本大震災で家族を失った震災遺児が、ブロードウェイの舞台でともに歌い踊るというプロジェクト。超一流スタッフによる猛レッスンと、軌跡のステージ。悲しみを乗り越えた子供たちが受け取る「シンプル・ギフト」とは?
2017年 日本映画/英語版『Daddy Long Legs』・フランス語版『Papa-Longues-Jambes』/上映時間90分 制作:2s Inc. 配給:ポルトレ/ニッセン ジャパン
www.simplegift.jp
 

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この記事を書いた人
栗林 勝/編集者/1970年東京都生まれ。
専修大学英文科を卒業後、20年ほどアダルト・サブカル系出版社で、雑誌・書籍・ウェブ編集を経験。広く、浅く、安く、をモットーにうす〜く生きている。
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