ブラウジング中、急に画面にアラートのようなものが表示され、ビックリさせられることはありませんか?特にアダルトサイト閲覧中にポップアップが立ち上がり「登録が完了しましたのでこちらに支払いください」みたいなことはありがちで、慣れた方なら驚きもせずにただ静かに画面を閉じることと思います。

仕事中にそのような画面に直面することはありませんでしたが、本日ブラウザを操作していると、急にこのような画面が登場しました。きっかけはChromeの無効になっているアドオンを削除しようとした時でしょうか。いかにもAppleの公式サイト内のような雰囲気ですが、どことなくAppleではないようにも感じています。特に「今すぐスキャン」のボタンは文言といいデザインといいAppleらしいスマートさに欠けるように思います。

内容はと言うと、システムが3つのウィルスに感染し、システム全体の約3割が損傷を起こしているらしいです。赤文字で時間がカウントダウンされ、タイマーが0になると損傷が恒久的に残るそうです。

これが本当なら衝撃的な話です。ウィルスによって「損傷が恒久的に残る」とは」一体どういうことなのか?真実だとしたらハードウェアを破壊し集積回路を書き換えてしまうほどの強力なウィルスが存在するのか、など色々なことが頭をめぐります。修復プロセスをすぐに開始しろとのアラート文言があり、「今すぐスキャン」ボタンを押しますとスキャン進行中画面に切り替わり、インジケーターが進み一瞬で終了。

そしてアプリのダウンロード画面が登場し、MacCleanupというアプリのダウンロードを勧められます。AppStoreで同名のアプリを探しても出てきません。

これらのページにあった「virus found apple」というページタイトルで検索しますとそれらしい内容と思われる検索結果が幾つか登場し、以下のサイトでほぼ同様の体験を紹介した記事がありました。こちらはMac Keeperというアプリのサイトにリンクしたそうです。
https://ichigoichielab.com/2015/08/mac-virus-attention/

この記事を見ますと、この手の込んだ脅しの最終的な目的はウィルス対策アプリの広告のようですが、さらに類似の情報を探していきますと広告という生やさしい目的でない場合もあるようです。

例えばウィルス感染を訴えたあと、その解決のためにアプリやファイルのダウンロードに誘導されるところまでは一緒ですが、そのダウンロードしたファイルがウィルスである場合です。ウィルスにより個人情報を抜き取られる、PCを乗っ取られるなど、実害があるケースも報告されています。

また本当に存在するのが、アラートが表示された時点で、実際にPCをウィルス感染させられていたというケースです。この場合はウィルス駆除を自ら行う、または最悪なケースでは再インストールする必要場合も出てきて対応は困難を極めるでしょう。

自分のケースでは色々情報を検索し、全てが嘘だと確実に理解できた後で、履歴から元のウイルス警告画面に戻り、スクショを撮りはじめました。この時はじめてウィルス感染画面の上部にあったAppleのグロナビをクリックしましたが、リンクしないただの画像だと気づきました。その時の自分はそこにリンクが入っていると勝手に思っていたというだけでも動揺していたように思います。

そしてノートンでスキャンを実行しあらためて問題がないことを確認したあと、その画面を見た時の心境を振り返りました。

まずはウィルス感染画面を見た時は驚きまして、マジ?本当?いや嘘?と多少混乱しました。そしてそのサイトが怪しいと思いつつも、一瞬は誘導されるままダウンロードしようという思いがよぎり、いや、ダウンロードという行為自体が危険であるだろうとの思いから情報を探しはじめました。短い時間で嘘であるとの確証を得ましたが、その間多少のプチパニック状態であったことは間違いありません。

自分はMacはSE30などまあまあ初期から使い始め、PCリテラシーはそこまで低い方ではありませんが、WEBリテラシーはWEBの仕事をしていながら周りの技術者に頼っていることを考えますと高いとはいえません。また、歳を取ると判断力も鈍りますし、今回は本能的に怪しいとは思いつつも、その瞬間に嘘であることを見抜けませんでした。結果的に騙されることは無かったものの、長年PCに向かってきた自分がこの反応であるのなら、騙される人は確実にいると思いました。

この手の怪しい警告が出てきた時はなにもしないことが一番ですが、不安に思う人もいると思うので、警告画面の文言やページタイトルで検索してみると良いと思います。報告例が見つかり、全く同じケースや類似ケースの紹介や、それに対する対処や結果を見ると安心できます。

ニセの警告からアプリなどをダウンロードさせる手法を「フェイクアラート」といい、アフィリエイトで稼ぐというパターンが多いそうです。とにかく、WEBブラウザではウィルス感染やシステム損傷は検知できないものであることを忘れないようにし、慌てず対処しましょう。

この記事を書いた人:
近藤圭介/デザイナー・アートディレクター
多摩美術大学グラフィックデザイン卒業後、広告代理店に勤務しCMプランニングなどをしていたが、その頃には珍しかったMachintoshがある制作会社へ移動。グラフィックはじめ店舗開発や商品企画などいろいろなデザインに携わる。

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